「ゆみってよく笑っているよね」
確かに、いつでも笑っている。
話を聞きながら笑い、
自分のミスに笑い、
妄想しながらニヤける。
時々
何がそんなに楽しいのか、
笑っている本人でさえわからないときもある。
変なヤツだ。
「私のことバカにしているの?」
と聞かれる時もあるが、心外だ。
本人は至って真面目に場を楽しんでいるのだから。
思い返すと、小学生の頃、
バスケの試合を見に行く車の中。
運転する父に言われた言葉を思い出す。
「ゆみがいると、場が明るくなるよ」
当時、テレビで活躍していた天真爛漫な女の子を例にして
「彼女みたいな素敵さがあるよね」
と褒めてもらった。
嬉しくて嬉しくて、
その後も無邪気に話し続けた記憶がある。
小さい頃の私の家には、
何をやっても敵わない両親や姉がいた。
私は母に注意されないと動かない面倒臭がり屋。
ずば抜けた頭の良さを持っているわけでもない。
そんな私が家族で重要な役割を担っていたのは、
無邪気に笑って明るさを届けることだった。
帰宅後、
無言で新聞をじっと読み続ける父や、
やることに追われてイライラしている母、
シラフでは無口の祖父、
常に目に見えない何かと闘っている姉。
空気がよどむ家庭内を、
少しでも居心地がいい場所にしよう!
と小さい私はニコニコ笑っていた。
張り詰めた空気を柔和させると、
家族が少し笑顔になって、
安心できた。
心地よかった。
頭では考えず、
いつしか自然と笑顔でいるようになった。
そして今も、
笑っていれば、
心地よい空気がまわりに流れ出す気がする。
家族に限らず、社会において。全て。
私が笑っていれば、世界は平和になる。
何を大それたことを言っているのだろう。
たかが一個人の笑顔が世界平和に繋がるとは、規模が大きすぎるかもしれない。
しかし、私は結構本気で信じている。
笑う門には福来たる。
影響を与えられる自分のまわりから、
世界平和につながる幸せの笑顔を、
もっともっと増やしていこう。