【コラム】誰が一番すき?

 「ママって、お友だちで誰が一番好きなの?」

  突然、娘に問われた。

友人に優先順位をつけるのか……
それは無理だ。

今誰に会いたいか、と聞かれれば
数人思い浮かぶ。

しかし、正直言って、
今日会いたい人と
明日会いたい人は違うだろう。

その人が好きか嫌いかというわけではなく、
今の自分が会いたいかどうかが違う。
ただそれだけ。

優先順位はつけられない。

そんな私も、
人に優先順位をつけていた頃もあった。

ピチピチの女子高生と呼ばれた頃である。

この先輩とはうまくやっておいた方が得だ。

この子はあまり仲良くしない方が得だ。

そうやって損得で人と付き合う
嫌なヤツだった。

当時、こんな自分が嫌いだった。

考えを変えたいけれど、変え方がわからない。
誰かに相談したら
私が嫌われてしまう。
友達が離れてしまう。

そんな怖さを抱えながらも、
どうしても一人で抱えきれなくて、
ついに友人に打ち明けてみた。

受験を控えた高校三年生だった。

場所はどこかのファストフード店。
まるで、大罪を犯した犯罪者の気持ち。

友人はただただ聞いてくれた。
私は、ボロボロ大泣きしていた。

あれから、二十年。
彼女は今でも、最高の友人だ。

今は、時々しか連絡は取らない。

それでも、言葉では説明できない安心感が
ここにある。

結婚してから長野に移住した私は、
当時、ほとんどの友人と、物理的に距離が離れてしまった。

さらに娘が生まれてからは
彼らと集まる頻度が減り
追い打ちをかけるように強制的に
ソーシャルディスタンスを取らされる時期がやってきて、

会えず、連絡も取らず、
寂しくて心細くて
孤独だった。

気づけば、東京の友人たちから
距離をとり、
小さな箱の中に閉じこもっていた時もある。

それでも、私は彼女が、
そして彼らが大好きだ。

久しぶりに、
仲が良い同級生たちと集まれたのは、
数年前。

まるで冒険に出た勇者たちが、
それぞれの体験談を持ち寄って古宿に
帰ってきたようだった。

数ヶ月ぶりのあの人も、
数年ぶりのあの人も、
レベルアップして存在している。

素晴らしいではないか。

そんな友人が、私にはたくさんいる。
全国各地、津々浦々。

連絡を取らないからって、
嫌いなわけじゃない。

好きなのだ。彼らが。

私は、とっても。

遠くの親戚よりも近くの友人
なんて言葉もあるが、
近くても遠くても、
私にとっては大事な仲間。

距離も時間も関係ない。

今日も大好きだぞ、友よ。

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