【コラム】どうしたら

「フライドポテトしか食べられなかった」

つわりを経験した女性から、よく聞く体験談だ。

人によっては、生きた心地がしないと表現するくらいキツイつわり。
神様は、なぜこんな思いをさせてくるのだろう。

さくっと妊娠して、
ポーンっと出産できたら、
もっと日本に子どもが増えるだろうに。

将来の私たちを支える子ども、
増やしたいんだけどな。

こうやって原因追求をしても
この世からつわりが無くなることはないし、
医療がどれだけ発展しても
妊娠期間は十月十日。

つわりはあるし、発狂する出産体験も残存だ。

「変わることはない」
きっと、ここに意味がある。

私のつわり期間は、眠くて仕方がなかった。
「眠りつわり」というやつだ。
家でも、職場でも、椅子に座ればうとうと眠い。

学生時代から、寝ちゃいけない状況でも
寝てしまう体質があった私は
「また来たか!」
とコントロールが効かない眠気を懐かしく感じた。

一方、寝ちゃいけないタイミングで
我慢をする辛さも再訪。
学生と違って、仕事中は眠れない。

どうしてこんなに眠くなるのか。

おそらく、お腹の中で別の生命体を育てるために、
「省エネモードで動け」
と身体が教えてくれていたに違いない。

そして、学生時代にあれだけ眠かった理由は、
脳みそフル回転しすぎて
エネルギー供給が追いつかないから寝てください、
と脳が強制シャットダウンしていたんだろう。

身体は、あらゆる手段で教えてくれる。

人間って、知能だけでなく、
身体も優秀な生命体だ。

出産してからも、
思い通りにいかない日常に、振り回されていた。

どうしたら、離乳食を食べるんだろう。
どうしたら、夜泣きが終わるんだろう。
どうしたら、どうしたら……。

正解を探して、一つクリアしたら、また別の問題が起きる。
問題というか、課題というか。

そして子どもは大きくなり、気づけば小学生になっていた。

結論、なるようになる。

あらゆる手段を使って
「私に愛情をかけてくれ」
と子どもが表現するので、
私たちは、ただただ愛を与えればいいのかもしれない。

大人が当たり前に使う言語ではなく、
泣いたり、
笑ったり、
悪戯したり、
甘えたり。
彼らなりの表現を感じとり、愛を与え続ける。

言語優位で人間社会がまわっている
ように見えるが、
私たちのご先祖たちはもっと野生的な世界で、
生きていたはずだ。
言葉がなくてもなんとかなるのさ。

ほら。フライドポテトしか
食べていなくても生きていけるのと同じだ。
身体はすごいんだ。

大丈夫。

本能のままに生きてみよう。

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