【コラム】価値観は選べる

多国籍5人旅。
お財布の中はスッキリさっぱり。
時間と心は盛大に豊か。

そんな私たちは、
西海岸をドライブしながら、
美しいビーチを見つけては、
波の音とともに多くの時間を費やしていた。

レジャーシートなんて持っていない。
膝掛けなのか、
ストールなのか、
よくわからない布を砂浜に広げ、
ゴロリと横になる。

即席のサンドウィッチを作って食べ、
ペリカンと追いかけっこをする。

遠くに沈む夕日を、
静かに全身で味わう日もあった。

豊かだった。

日焼けを恐れた私は、
長袖、レギンス、帽子で日陰に潜む。

紫外線は敵。
身体にまとわりつく砂も、敵。

一方、横を見たら正反対の生物がいた。

日光を浴びて、
さらに元気になるアルゼンチン女子たち。

サンクリームをベチャベチャ塗って、
強く降り注ぐ太陽の下で
大の字で寝る。
ビキニの布は最小限。私とは対照的すぎる。

そんなに肌を見せて大丈夫なのかしら。

翌日、彼女たちは、
真っ赤に焼けた肌で「あぁ痛い!」
と唸りながら楽しそうに笑いあっている。

「うーん。信じられない」

初めの頃は思っていた。
しかし、だんだんと彼女たちの大胆さに惹かれる私がいた。

女子は白肌がいい。
発癌リスクを回避せよ。
肉付きが良い肌は隠すべき。

誰が決めたのかわからない価値観を
大事にしていた私。

そう言えば、昭和時代は
小麦肌のアイドルが人気だったし、
学生時代、真っ黒に焼けた
テニス部女子もキラキラ輝いていた。

もしかして、小麦肌もアリなのかもしれない。

島国である日本は、
歴史的にも文化が固定化されやすい国だったらしい。

統率を図るため、
新しい価値観はどんどん排除していく。

開国し、敗戦し、
近年、いろんな国の人たちが
共に生きる国に変わっているが、
それでもなお、ニッポン民族が多数。

目に見えない日本の価値観が蔓延っている。

さらに「違いはダメだ」という
古い価値観も根強くある。

まわりの環境に馴染まない
思考や趣向があると
「違う自分は変人なのか」と、自分を疑うのも、不思議だ。

違って良いよね。違うから楽しいのよ。

金子みすゞさんも言っている。
みんな違って、みんな良い。

当たり前だと感じている価値観を
一度疑う。

違いを受け入れ、
違う価値観を選択してみる。

もし、人との違いに、
自分や大切な人が悩んでいるとしたら、
世界を広げてみたらどうだろう。

オーストラリアでも、
ベトナムでも、
パプアニューギニアでも、
地球規模に視野を広げてみたら、
その違いは大したことはないかもしれない。

どこかに必ず仲間がいる。
価値観は選択してもいい。

豊かに生きるための取捨選択を、今日も私はし続ける。

今日の私は、何をしよう。
そうだな。
納豆に大好きなオリーブオイルと塩をかけて食べようか。

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