【コラム】もうコートに立っている

バスケは、サーフィンのようだ。

毎試合、毎クォーター、
訪れる波が違う。

いつどこで、どんな波がやってくるのか、わからない。

試合中、自分から小波を仕掛ける時もある。

気づいたら目の前に大波があり、飲み込まれている時もある。

私のポジションはガードだった。

ガードの役割は、
コートに立ちながらこの波を読み、
チームを勝たせること。

思考は使わず、
ただただ身体に身を任せ、
自分の、チームの、相手の、会場の空気を感じ、
変動させ、
チームの勝ちパターンに繋げていく。

一気に流れを変えられた時の高揚感はたまらない。

相手の隙を見つけると、
執拗に攻め続けたくなるS心が顔を出す。

うまいプレーヤーのマンツーマンディフェンスは
苦しくて仕方がないが、
相手のミスを誘い、
守り切った時の爽快感が大好きだった。

おかげで、私は日常においても波を楽しめるようになった。

今日はどんな波がやってくるのか、
やってみなくちゃわからない。

人生というコートに立ったら全力でやるしかないのだから。

日常でも、ふと、立ち止まって考えてみる。

私たちは今まさに人生という試合の最中だ。

今は何クォーターなのだろう。

結末が見えない中、
確かなのは、もう、私はコートに立っている。

あれこれ悩んでも、ぼーっとしていても、
タイムは減っていくばかり。
待ってくれない。

やるっきゃない。

「最高のゲームだった!」

清々しく試合後に言いきる私でいたい。

試合は進む。
人生も進む。

だから私は、今日も波に乗る。

Share!
目次